久しぶりの更新となりますね。
ここに向かわせるに至ったのは2冊の本の存在でした。
これに関しては垂れ流しで探すのに手間取るTwitterよりこっちの方がいいだろうな、と思ったもので。

ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと
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「お客様の幸せ」のためにディズニーはまず「おそうじ」を考えた
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今やすっかりメディアでも取り上げ人気職種となったカストーディアル。今までディズニー流のサービス術や育成本などの好例として取り上げられるケースはあれど、それだけに注目した本はなかなかありませんでした。ところがここへきてこの2冊が発売されました。どういった経緯であれ、同年にオリエンタルランドに入社し、同じカストーディアル部門にパークオープンから関わった二人の人物が発信するこの本を個人的には是非ともおすすめしたいのです。

先に発売された前者、『ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと』は物語調で進み、根底にあるカストーディアルキャストのスピリットを強く、また自然に読み取る事ができます。後者の『「お客様の幸せ」のためにディズニーはまず「おそうじ」を考えた』はこれまでのノウハウ本から更に詳しくカストーディアル部門の全てを紹介する本となっています。どちらも読んでいて非常に興味深い。ディズニーレジェンドでもあるチャック氏について、両者とも触れている点においてもまた、今までのものと異なり個人的に評価したい点でもあります。



ディズニーのサービスは凄い!とよく取り上げられます。震災時のイレギュラー対応においてもあちこちで評価されていました。でも実は当たり前になってる「環境づくり」の凄さって、わかっているようでわかってないのが現状だと思っています。その大切さを実感させてくれる教科書としてこんなにぴったりな2冊はないわけで、正直今の現役カストーディアルキャストにこそ読んでほしいと思うくらい。

Twitterでもかねてから投げてましたが、実際サービスのレベルを上げたいのであれば、いかに日常空間と一つ違った環境を作り出せるかが、結局のところ鍵となると思うんですよね。その環境づくりの根底であり、最も重要な要素が「そうじ」。徹底的に清潔な空間は一番サービス現場のモチベーションを上げます。「そうじ」は何もお客様の為に行うべきものではなくて、従業員の為にあるものであると思います。勿論その現場のデザインもそうですが、どんなに優れたデザイナーが考えた空間であっても「徹底的な清潔さ」が欠如すれば従業員のモチベーションはたちまち失われます。お客さまにだって影響します。

でも常に徹底的に清潔な空間を維持する、って一番難しいこととも言えるんですよね。退屈なルーティーン作業になりがちな上、そういったサービス現場に憧れて雇われる従業員は、かえって「汚れ」を嫌う傾向が強い場合がほとんどです。その上でその環境を「清潔に」維持していくか、というのは難しい問題なんですよね。プロを入れられれば何ら問題もないのかもしれませんがね。

その点、ディズニーの「そうじ」が凄いのは「かっこよくて」「楽しくて」「簡単」であること。暗くて汚いイメージの清掃をまるっきり明るい「そうじ」に変えてしまったこのカストーディアル部門は本当に凄いと思います。小さな箒、トイブルームとダストパンを使った鮮やかなゴミ取り術。スイーピングテクニックはカストーディアルキャストは皆先輩に教えを請いながら、自主的に練習するくらいです。緑の長ブラシ、プッシュブルームでゴミを集めるのもある意味テクニック。まるで職人技の様に自主的に見栄えの良いやり方を身につけていけるのが「かっこよくて」「楽しい」ところ。

そして何より「簡単」。あんな小さな箒で集めるのはかえって大変そう、という人が多いんですが、カストーディアル経験者に言わせれば答えはきっとみんな真逆。ゴミ箱からのゴミ回収の方法、汚物処理の方法、トイレ掃除の方法、基本的な作業のほとんどはめちゃくちゃ簡単です。特に汚いものに対する対応が特に簡単。負担が少なくて済むのです。それからパーク自体が「そうじ」し易い設計になっているのも大きいかもしれませんね。

もし個々のサービス現場が「かっこよくて」「楽しくて」「簡単」な「そうじ」体系を構築できたら、「徹底的な清潔さ」を維持していくことが思いの外簡単になるでしょう。働く者のモチベーションって本当に環境によるところが大きいんですよ。たぶん、ファイブスターカードやスピリットアワード、サンクスデー、ユニバーシティ制度なんてのはどこの企業でも取り入れてきているはず。でもそんなことより環境さえしっかり整っていれば、自律的に優れたサービスが行われるようになると個人的には思っています。各サービス現場が「そうじ」を見直す機会が増えたらなと思います。

それからよりディズニーっぽいサービスを目指すのであれば「そうじ」は第一歩。更に現場にオンとオフが切り替えられる「境界」と、まるで舞台に立つ役者の様に演じられる「空気」があれば、きっとうまくいく気がします。あくまで素人考えですけどね。

「カストーディアル」とは「維持する、保全する、管理する」という意味。元々ディズニーは「清掃」どころか「そうじ」という言葉すら使ってなかったんですよね。あくまで開園時の状態を「維持する」ことが目的。その考え方もうまく浸透させているからまた凄い。とにもかくにも本一冊まるまる語れるディズニーキャストの職種なんてそうそうありません。気になった方はまず読んでみてください。拙い自分の文章よりよっぽど言いたい事がわかってもらえると思います(笑)