さて。

いよいよディズニーシーも地震後再開しまして、ファンタズミック!も無事公開となりました。誰もが米国で公開となってからは一度は「東京で。」と望んだ事はあったであろう、ディズニーのナイトエンターテイメント史上に名を残す、強力なコンテンツです。

観てまいりました。二度ほど。その上での感想です。
観てない方はまず一度はご覧になってくださいませ。


このファンタズミック!を語る上で、その背景を知っておくと尚の事楽しめると思います。だからマニアのみなさんに関しては並々ならぬ思いでこのショーを待っていたわけです。長かったといえば、長かった。それだけ期待もでかくなりますよ。


元々本家、アナハイムのディズニーランドの、トムソーヤ島をステージとして初めて公演されたものです。時は1992年。東京では翌年10周年の「It's Magical!」が公演を控えるそんな年。その頃から今もアメリカの二つのパークで、リニューアルもされ、およそ19年愛され続ける夜のお馴染みのショー。夜のパレードの代名詞がメインストリート・エレクトリカルパレードであるならば、夜のショーの代名詞的存在と言っても過言ではないかもしれません。

そんな大人気のショーを勿論「東京でも。」という話は過去にも何度かありました。情報の出所は確か雑誌ディズニーファンの柳生すみまろ氏のコラムだったと思いますが、東京の2代目ナイトパレード「Disney's Fantillusion!」も、ファンタズミック!をやるだけのショーエリア(主に観賞エリア)が確保できない東京パークの為に、コンセプトやテーマはそのままに、パレード用に書きなおしてくれたものだという話があるくらい。それからディズニーシー計画当時も、出所をこれも失念しましたが、ファンタズミック!はやらないのか、という話が出ていました。公式見解としてそれを超えるショーを展開していきます、というものだったんですがね。それは何故か。


現在のディズニーシーは、計画当時の「ロマンティック・シーアドベンチャー」という方針からは徐々に外れてきています。ディズニーシーも当初こそは、ディズニーランドとは全く違う体験ができる、ディズニーキャラクターやアニメーションに頼りすぎない「新しいディズニー世界」を体験できるものとしてスタートしました。TDLの客層でまだ開拓しきれていない年齢層をターゲットに、食事やお酒、ハイグレードなエンターテイメントを売りにして始まりました。勿論、ショーエリアの環境の違いも大きくあったことも一因ではあると思いますが、そういう路線を打ち出していた以上キャラクター満載のファンタズミック!ではなく、あくまで「全く新しいショー」にこだわりたかった思惑が大きくあったことはオリエンタルランドの会長の著書にもある通り、明白です。

この点に関して一定の実績は上がったものとは思いますが、5周年以降、(個人的な感覚としては「雪の女王」が白紙になり「ビッグ・バンド・ビート」が続投決定した時だと思っていますが)新規投資施設や商品販売戦略、キャラクターグリーティングなんかを見ると、当初のそれと異なった運営方針になってきています。結局のところ“ディズニー”シーというテーマパークに対し、一般ゲストが求めていたのはディズニーランドと同様に、“キャラクター達に会える非日常体験”であり、その事を運営側も具体的な数字と共にようやく認識し始めた、ということなのだと思います。それが形になって見える事が多くなった。その大きな一つが「全く新しいショー(ブラヴィッシーモ!)」の終演であり、「ファンタズミック!」導入なわけです。


文章にすると長くなっちゃいますね。まとめると、導入がずっと見送られていたショーが遂に公演される、という事と、ディズニーシーの大きな転換点、という事の二つの点で、マニアにとっては大きく意味のあるショーなわけです。一般の方々には余談にしては、少々長すぎる話なんですが。


そんな色々な思いを胸に、観てまいりました。


率直なところ、感想としては大満足です。Twitterで大興奮してる様を垂れ流してしまいましたが、事実それぐらい久々に気分がとてつもなく高揚しました。個人的にはオリジナル版を見ていません。動画でのみそれを確認して、音楽をずうっと聴いていたくらいですが、だからでしょうか、あのメインテーマをメディテレーニアンハーバーで聴いている自分をふと客観的に認識した瞬間、全身鳥肌で、フィナーレはもうその感覚だけで本当に興奮しました。ショー内容としてもハーバーのショー環境をフルに使いまくっていて、ブラヴィッシーモ!の時より更に空間全体が魔法の世界、というような印象で、久々に「スペクタキュラー」という肩書きに相違なしという感想です。特にお金も相当かかっているんじゃないかというあのLEDバージ。転用具合なんかも気になるところですが、バルーンスクリーンも含め、風の影響で見え方が不安定なウォータースクリーンを多用しない辺りも評価します。

何より一般の方々の自然な歓声と拍手が何故か嬉しく感じてしまったり。プレショーの曲から、新曲「Imagination」も気に入ってます。やっぱりディズニーキャラクター達には勝てません。本当に。

一方で、これを観て素直に喜べない方々の気持ちもわかります。確かにファンタズミック!でありFantasmic!でない、という意見もわかる。オープニングも結構印象的なオリジナル版。ピーターパンのシーンや最後の蒸気船といったシーンが無いのはやはりしっくりこない所がある。何よりメインテーマにちょくちょく入ってくる新曲もどっちつかずな印象を与えかねないだろうし、空間がでかいから本家の様な空気感も出ないだろうし。生で観てないので何とも言えませんが、オリジナルが好きな人にとっては手放しで、というものではないことは想像も難しくありません。まぁその分海外に行く理由が一つ消えなかった、と考えればいいことなのかもしれませんがね。

そんなディズニーシー版ファンタズミック!最大の欠点は観賞エリアによって観え方があまりにも違うということ。2度観てきましたが、正面からややずれた位置と真横では明らかに印象が違いすぎます。まして真正面、真裏では全く違います。このショーにはベストポジションが存在してしまいます。ブラヴィッシーモ!やディズニーシー・シンフォニーの時の様に自分の観たい場所がベスポジ、とは恐らくいかなくなります。つまりある一定の位置にゲストが集中する状況を作り上げてしまうわけです。ただでさえ観賞スペースに限りがあるハーバーというショーエリアにおいて、そのスペースを更に限定してしまうショー形態であることは問題です。改良の余地あり、といったところでしょうか。初めて観る方には絶対ベストポジションで観る事をお勧めしちゃいますから。

あと欲を言えば、オリジナルと同じくフィナーレは真っ暗にして終わってもらいたかった。プリンセスのシーンは技術的な見せ場(というか派手さ)が無い以上ファンティリュージョンみたいなメドレーで簡単にまとめるくらいで良かったのでは。マレフィセントドラゴン出現から倒れるまでの時間は、せめて炎の紋章が全部完成するのを待つくらいあっても良かったんじゃないか。なんて細かい話したら終わりがないんですけどね。


正直ブラヴィッシーモ!というあのメディテレーニアンハーバーの為に作られたショーが作り出す空気は大好きでした。静かで、ロマンティック。余韻に浸るのが心地よかった。でも今、一日の終わりに、沢山のゲストを更にもう一つ驚かせ、奮い立たせ、笑顔にするファンタズミック!も良いんじゃないかな、と思います。

なんだか褒めてるのか貶してるのか、わかんなくなってきましたが、色んな人を連れて行って見せてあげたいショーであることは間違いなくて、そんなショーであったことは嬉しい限りです。今度はまた別角度から観てみます。